先日夜、NHKのニュースをみていましたら、

「働く女性と生理」という特集が放送されていました。

働く女性の年代に多い片頭痛片頭痛も生理と密接な関係があります。

片頭痛は20代~40代の女性に最も多く認めます。

特に15歳から49歳の女性において、片頭痛と緊張型頭痛は障害生存年数(理想的ではない健康状態で過ごす年数)が長いことが報告されています (Lancet. 2017; 390: 1211-1259)

「朝から頭痛があるけど、大事な会議があるから、代われる人がいないから、無理して仕事にいく、だけど、職場では頭痛のためにいつものように仕事が出来ない。頭痛が起ると家事が出来ない、大事な約束が出来ない、頭痛が起ると子供の習い事の送り迎えが出来ない、頭痛がすると子供の声がうるさくてイライラする、生理の時に頭痛と吐き気が出るので、お昼休みは保健室や休憩室で寝て過ごす」、これらはいずれも片頭痛の方のご意見です。

片頭痛には数多くの誘発因子があることがわかっています。これらの因子は人によって様々です。例えば、天候の変化、湿度、まぶしい光、睡眠(寝不足も寝過ぎも)、ストレスなど、そういった誘発因子の中に、ホルモン(エストロゲン)の変化による生理もあります。

小児の片頭痛は、男女差はあまりないといわれていますが、思春期以降は、女性の方が増加してきます。そして、妊娠している時、閉経後には、片頭痛の頻度、強度が改善するという点などは、片頭痛が女性ホルモンの変動と関係しているという証拠になると思います。

また、女性の片頭痛は男性の片頭痛と比べて、片頭痛日数が多く、片頭痛の支障度が大きいことが報告されています(Headache. 2018; 58: 1408-1426)

女性片頭痛の方の60%は、月経時に片頭痛発作を経験していると言われています(Headache. 1985; 25: 376-379.)

 

生理(月経)と関連する片頭痛には、大きく3種類があります。共通するのは、前兆のない片頭痛です。

・純粋月経時片頭痛;月経開始2日前から月経3日目までの期間のみに片頭痛あり

・月経関連片頭痛;月経開始2日前から月経3日目までに片頭痛が生じ、加えてそれ以外の時期(排卵日など)にも片頭痛がおこる

・非月経時片頭痛;上記2つを満たさない

割合は、約5倍、月経関連片頭痛の方が多い事が報告されています (JAMA. 2006; 295: 1824-1830.)

頭痛日誌などを通じて、日々の頭痛と月経が、どう関係しているのか診ながら診断していきます。

 

月経関連片頭痛の特徴

月経時以外の片頭痛と比べて、

・頭痛の持続時間が長い

・薬が効きにくい

・24時間以内の頭痛の再燃が多い

・強い吐き気を伴うことが多い

・生活への支障度が大きい

より強い頭痛である、月経関連片頭痛に対する治療については、通常の片頭痛治療をより強固にした治療戦略を練る必要があります。月経時以外にも頭痛があり、頭痛発作頻度が多い方の場合は、薬剤の使用過多による頭痛に陥る可能性もありますので、片頭痛の予防療法も行った方が良いといえます。そういった中で、薬剤選択において、妊娠の可能性について配慮した薬剤選択も必要です。

薬剤以外にも、マグネシウム、ビタミンE、植物性エストロゲンなどの予防療法としての有効性の報告もあります。

生理痛、月経痛に対する治療薬としての低用量ピルについて、片頭痛のタイプによって気をつけないといけない点もあります。また、妊娠・授乳期における片頭痛、更年期における片頭痛など、女性そしてホルモンは片頭痛と密接な関係があります。

あきらめない片頭痛治療!日々の豊かな日常生活を取り戻すために!

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