睡眠は、REM睡眠(レム)とnon-REM睡眠(ノンレム)に分けられます。

REM睡眠とは、REM=rapid eye movementで、“急速眼球運動”を伴った睡眠で、夢を見るのはこのレム睡眠の時です。

起きている時は、手足が自由に動くのに対して、REM睡眠期には筋緊張は低下しており、通常は夢を見ている時にも手足は動かないのが普通です。

ところがRBD(レム睡眠行動異常症)の人では筋緊張が保たれていて“夢を見て、かつ身体も動かせる状態”となります。しかも、その夢が怖い夢であったりするので、大声を上げたり、起き上がったりし、“夢の行動化”が起こります。そういった時に、ご本人を起こせば、容易に夢の内容を話せたりします。治療は内服薬(クロナゼパムなど)を用いて行います。

近年、このレム睡眠行動異常症はパーキンソン病やレビー小体型認知症を発症するリスクが高いことがわかっています。また病気の原因として、睡眠の調整に関わる脳幹の機能障害が言われています。またレム睡眠行動異常症の時期に、すでにパーキンソン病の方で認める嗅覚低下や、検査異常もみられることも報告されています。

今回のこの研究においても、パーキンソン病の症状を認めないレム睡眠行動異常症の方を対象として、画像検査を用いて様々な神経支配について検討されました。結果は、健常の方と比較して、レム睡眠行動異常症の方は、腸管の自律神経系、青斑核において機能低下を認めました。これらはパーキンソン病の方においても機能低下を認めます。しかし、RBDの方は、パーキンソン病の方で認める黒質神経細胞の機能低下は70%の方は正常でした。

これは、パーキンソン病の病理変化が、末梢の自律神経系から始まるという説、レム睡眠行動異常症が、パーキンソン病の発症前の、前駆症状であるという事も支持する結果だと思われました。

Lancet Neurol.17; 618-628: 2018  Neurology. 67; 2236-2238: 2006

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